真言宗豊山派の歴史
真言密教の歴史は大乗仏教を大成する形で7世紀ごろのインドに始まります。中国に伝わり体系化され、延歴24年(805)に弘法大師(空海)が長安(現在の西安)にわたって恵果阿闍梨から真言密教の教えを授かり、日本へと伝えられました。 弘法大師によって開宗された真言宗は、東寺や高野山を中心に広められ、平安末期の頃に興教大師によってさらに新しい力が吹き込まれ、根来寺が創建されました。鎌倉時代には頼瑜僧正によって新義真言宗が成立し、根来寺を中心に栄えましたが、戦国時代の戦禍により、専誉僧正はじめ多くの僧侶が根来寺を離れることになりました。 その後豊臣秀長公に招かれた専誉僧正は、奈良の長谷寺で豊山派を興します。派名は長谷寺の山号「豊山」に由来します。また、江戸時代5代将軍徳川綱吉公の生母桂昌院により護国寺が建立されました。現在は全国に3,000寺を有する宗派となっています。
ご本尊
真言宗のご本尊は大日如来です。大いなる知恵と慈悲をもって、すべてのものを照らす根本の仏様です。私たちが手を合わせるさまざまな仏様は、すべて大日如来の身を変えた姿(応化身)であり、それぞれにご縁のある身近な仏様への信仰は、すべて大日如来につながっているのです。
三祖宝号
真言宗豊山派の開祖として上記の歴史の中から三人が選ばれています。
- 弘法大師・・・・・・宗祖
- 興教大師・・・・・・中興の祖
- 専誉僧正・・・・・・派祖
真言宗豊山派豆知識
- 総本山は?
- 奈良県の長谷寺です。長谷寺の山号が豊山であることから豊山派という宗派名となりました。
- お寺の数と檀信徒数は?
- 全国3000カ寺、檀信徒数は200万人です。
- 合掌のしかたは?
- 金剛合掌といって右手の指が左手の指の上にそれぞれ重なるように組みます。
- 修行はどんなことをする?
- 行いと言葉と心を整えて仏様と一体となることを目指します。また、仏様へのお供物を火中に投じて供養し、諸難を消滅したり、煩悩を除き福徳などを増進させる護摩を焚きます。
- 衣の色は何色があるか?
- 階位によって決められていますが、正式には「緋色」「紫色」「萌黄色」「黄色」「浅黄色」の5色です。
- 何をお唱えするか?
- 「般若心経」「観音経」「光明真言」三祖のご宝号「南無大師遍照金剛」「南無興教大師」「南無専誉僧正」などです。
- 輪が重なったマークは何?
- 豊山派の宗紋で「輪違」といいます。これは仏様と私たちは本来同じであり、異なることはない「凡聖不二」という教えを基にしています。